大工とハウスメーカーって何が違う?
2020年08月12日日本の住宅は伝統的に大工により作られてきました。ハウスメーカーは戦後の高度経済成長期に発展し現在に至っていますが、大工が組織する工務店よりも全体のシェアは低いのです。工務店は地域密着の組織ですが大工を直に雇用している場合もあり、規模は小さくても地元から信頼されています。ハウスメーカーは営業するエリアが広く、工務店のように限定的ではありません。ハウスメーカーは施工部隊を雇用してはおらず、大工を下請けに使っているのです。
日本の建築は元々大工が仕切っていましたが、戦後の高度経済成長期からハウスメーカーが住宅産業に算入してきました。大工を職人としたらハウスメーカーは業者と言えるでしょう。住宅を建てる場合に最初に選択しなければならないのはどちらに依頼するかです。工務店を選び場合は地域密着の会社の中から選ぶ必要があり、選択肢は限られてきます。しかし、どの工務店を選んでも仕事の内容には大きな違いがないことも特徴となっています。
ハウスメーカーは多くの営業マンを雇用して顧客の要望に対応するのに対して、工務店は専門の営業マンを雇用していないこともあります。そのため、工務店に依頼すると十分なサービスは受けられず、利用者は自分で手続等をしなければなりません。しかし工務店は自前の大工を揃えていることが多いので、施工は信頼ができます。その点は下請けの大工を使うハウスメーカーとの大きな違いとなっています。
両者は住宅建築に対する基本的な考えが異なる点を注意深く観察することが大切です。ハウスメーカーは利用者をお客として扱い、過剰なほどのサービスを行います。それに対して大工や工務店は依頼者を施主と呼び、尊敬の念を抱くのです。この違いは大きく、工務店に依頼した場合は利用者は単なる顧客ではなく、事業主体の立場となります。そのため、地鎮祭や上棟式などの式典は施主が主催する形がとられます。
大工はモノづくりの手段なので、品質第一を心掛けます。住宅の質の点では問題が生じにくく、安心して依頼することができるのです。経営基盤は小さいことが多く、工事途中で倒産した場合でも続けられるように完成保証を付けておくことが勧められます。ハウスメーカーも高い品質を保とうとしますが、それは自社の利益のためでもあります。両者は住宅に対する基本的な考えが異なるために、完成する住宅の出来栄えも違ったものとなります。利用者はそのことを知った上で、慎重に選択することが求められます。